スティーブ・ジョブズ、ただのクズ説。
水曜日のダウンタウン風のタイトルになってしまったけれども。
なので備忘録的に感想でも書いておこうかなと。
ジョブズ観。
とか言って、いかにもApple信者が言いそうな台詞やな!
とにかく、クリエイティブという言葉ではもはや形容出来ない程にクリエイティブでビジョナリーだったジョブズに対して、心からの畏敬の念を抱いているのは間違いありません。
しかし一方で、方々から伝え聞く彼の傲慢さであり、強過ぎたと言われるパーソナリティ、端的に言えば「クズ」とも形容される彼の人間性への評価を伝え聞くにあたり、果たして実際はどんな人物だったんやろ?と常々思ってしまう訳です。
映画内容に関して。
挫折からの再起という点が非常に駆け足、というか、無い。個人的に一番見たかったのはそこなのに。
尺の配分的に難しかったのでしょうか。相当プライオリティの高い部分だと思うのですが…。悔やまれるところです。
映画を見て良かった部分。
・ジョブズという人間が辿ってきた歴史を映像という解りやすい形で確認出来た点
・改めてジョブズの人間像や思想をリアリティをもって見ることが出来た点
まぁ当たり前の話ですね。要するに映像という形で見れて良かったよねっていう。
今回の映画で描かれたのは、傲慢、自身のビジョンに狂信的という、やはりこれまで語られていた通りのジョブズ像だった訳ですが、実際の所はもっと寛容だったのか、それともさらに強硬的な人間だったのか。それは定かではありません。
あくまで映画ですから。ある程度の脚色もあるでしょう。
しかし、それでも今回描かれた彼の姿は、かなり在りし日のジョブズ像に近かったと。そんな感じがします。
例えば、プロダクトに対して自身のビジョンを共有出来ない人間は、有能でも即クビというシーン。
【企画会議にて。ジョブズ、社員とモメる。】
社員:「What? Are you gonna fire me? 何? 僕をクビにするつもりか?」
ジョブズ:「NO!! 違う!!」
「I already fired you ! ! もうクビにした!!!」
「Why are you still here!! 何でまだここにいる!!?」
キターー!!ジョブズさんのクズっぷり炸裂!!面目躍如!!
という感じですが、かなり強い言葉ですからね。相手の心中察するに余りある訳です。
しかし、こういったシーンも誇張されているのかなーとは感じながらも、多分、これくらいの熱量で動いていないと、世の中を一変させる程の大義を成し遂げる事は難しかっただろうと。そういう面では非常にリアリティを感じます。
Most impressive
この作品の中で最も自分の胸を熱くさせたのは、Appleの現デザイン担当上級副社長、ジョナサン・アイブとの会話です。きっと、多くの人にとってもそうだったと思います。
映画の中でジョブズはAppleに仮復帰してからアイブと出会う訳ですが、一時は「誰にも理解されない」とまで感じていたジョブズの信念、ビジョンは、伝わる人間には伝わっていたと、アイブから知る事になります。
自身の信念に共感してくれた。一人でも残って闘ってくれている人間がいた。クリエイターにとってこれ程救われることはないでしょう。
その時のジョブズの心境を考えると、思わず目頭が熱くなります。
映画を見終わった後、
いてもたってもいられずに、かの有名なスタンフォード大学での基調講演を再び見ました。
初めてそれを見た時は確か大学生だったのですが。
ジョブズは、変わっていませんでした。当たり前の話なのですが。画面の向こうで一字一句変わらないメッセージを刻んでいました。
にもかかわらず、僕の心にはジョブズの言葉が深く突き刺さりました。まるでその言葉を初めて聞くかのように。
それは勿論、ジョブズのメッセージが時代を選ばない普遍性を持っているという側面もあると思うのですが、それの真に意味するところは、数年前と一緒で「彼の講演を見てから変化していない自分」なのでした。
もしかしたら、ある程度自身の言葉が広がっていく事は想定していたかもしれません。
でも、そのジョブズの遺志は、世界中に、そして、遠く離れた日本のこんなしょうもない人間にまで届いている。
彼が世界中に伝えたかったメッセージ。
例えば、「Think different.」
例えば、「Stay hungry,stay foolish.」
もしいつか、僕が再び忘れた頃にこれらの言葉に出会った時。次はハッとさせられることなく、自然に受け止めることが出来るでしょうか。